初号(2026年10月)
このコンテンツはフリップブック形式です。本文のテキスト版は 初号(2026年10月) テキスト版 でもご覧いただけます。
ページ1
柴田雄平の事業戦略ノート
Vol.01 2026年10月
原点|なぜ、事業戦略なのか
「何をやるか」以上に、「何をやらないか」を決める。
01 今月の判断 02 図解・事業戦略 03 連載 実業家・柴田雄平の歩み 04 今月の3つの視点
05 今月の事業の現場
ページ2
今月の判断
「やった方がいい」だけでは、やらない
10月27日のウェビナーのテーマ「何をやめて、何に集中するか」に合わせ、柴田さん自身の判断を3つの問いで聞きました。判断の基準と、やめたあとどうなったかまで。
Q1 最近、やめると決めたことは何ですか
「やった方がいい」という理由だけで、仕事を増やすことです。
事業をやっていると、やった方がいいことはいくらでも出てきます。でも、全部やっていたら本当に伸ばすべきところに時間もリソースも使えない。
最近は特に、「やるかどうか」より「何をやらないか」を決めることを意識しています。
Q2 そのとき、何を基準に決めましたか
基準にしているのは、「今の事業規模で、本当にそこにリソースを使うべきか」です。
面白そうか、できそうかではなく、今の事業のボトルネックは何なのか。その仕事をやることで、事業が次のステージに進むのか。
そこから逆算して、優先順位を決めています。
Q3 やめたあと、何に集中していますか
自分にしかできない意思決定と、事業を次のステージに進めることに集中しています。
事業を伸ばすために必要なのは、仕事の量を増やすことではなく、限られたリソースをどこに張るかを決めることだと思っています。
だからこそ、「何をやるか」以上に「何をやらないか」を決めることが、事業戦略だと考えています。
「何をやるか」以上に
「何をやらないか」を決めることが、事業戦略
やった方がいいこと 事業をやっていると、いくらでも出てくる
判断の基準 今の事業規模で、本当にそこにリソースを使うべきか
やる
自分にしかできない意思決定
事業を次のステージに進めること
やらない
「やった方がいい」という
理由だけの仕事
ページ3
図解・事業戦略
「事業戦略」は、どこにあるのか
事業戦略で重視しているのは、個別施策の前提となる「事業全体の判断軸」です。
マーケティングや営業、組織、人事などの施策だけを見るのではなく、事業全体を捉え、誰にどんな価値を提供し、何に資源を集中するかを決める判断軸を整理します。
経営理念
企業の使命・ビジョン・価値観
経営戦略
企業が長期的な目標を達成するために
取るべき行動計画や方針
事業戦略
各事業を成功させるための具体的な計画
機能別戦略
マーケ/営業/人事/財務
各部門が自部門の目標を達成する
ために策定する戦略
仕組み化
顧客 商品 集客
営業 組織 財務
事業
顧客、商品、集客、営業、組織、財務など、事業を構成する論点を体系的に整理。自社の現在地・課題・優先順位を明確にするための「判断の地図」として活用します。
問題が起きた箇所だけを見るのではなく、事業全体から本当に見直すべき課題を特定します。
ページ4
連載 実業家・柴田雄平の歩み
第1回 起業の背景
料理人を志した若者は、なぜ経営者になり、事業戦略を教える側に立ったのか。第1回は、27歳で独立するまでの歩みと、最初の事業で選んだ順番をたどる。
「努力には再現性がある」
起業する前
埼玉で生まれ、高校まではサッカーに打ち込んでいた。所属したのは、20人中11人が県選抜という強豪チーム。周りから「うまいね」と言われても、本人は自分を下手だと感じていた。この劣等感を、のちに一番苦しかった経験として振り返っている。
サッカーを離れてからは調理師の専門学校へ進み、料理人になった。しかし就職した店で体を壊し、半年ほどで退職。
転機は、そのあと渡ったヨーロッパだった。働きながら6カ国を回り、自分の街に誇りを持って働くフリーランスや経営者に出会う。料理の技術の裏には、人を生かす仕組みとしての経営がある。そう気づいた。経営者として生きると決めたのは、19歳から20歳にかけてのことだ。
帰国して入ったのは、外食・マーケティング・商品開発の3つの事業を持つ東京のベンチャー企業。面接では、27歳で独立するので、それまでに辞めると伝えている。
柴田 雄平(株式会社一絲 / koujitsu 代表取締役)
■ 代表取締役8社に加えて11社のCMO・COOを担当
■ 経営者コミュニティ「REAL VALUE CLUB」のアドバイザリーボードメンバー
■ 売れるネット広告社グループ(証券コード9235)経営顧問
累計1,800社以上のコンサルティングに携わり、10社以上の外部役員として経営を支援。
2026年は総合計70億円の売上規模。
「事業構造を言語化し、再現性ある成長をつくる」事業戦略設計の専門家。
事業戦略スクール「知足」は開講18ヶ月で受講者数200名突破。
ページ5
7年の修業と、飲食からの独立
入社当時はパソコンに触れたこともなかった。上司からは1日3本、1本20〜30枚の企画書を課され、ほぼ毎日怒られる日々が続く。7年間で丸一日休めたのは5日ほど。1日20時間を超えて働き、身長165cmで体重は42kgまで落ちた。
それでも上司の考え方を真似し続け、1年半ほどで企画書の課題は外れる。初めて一人で任された大型案件のプレゼンは、一度で通った。「努力には再現性がある」という信念は、このとき生まれたという。
24歳のとき、社長に問われた。一店舗の主になるのか、何十店舗もまとめる経営者になりたいのか。答えは後者。多店舗の統括や商品開発、マーケティングを任され、広告代理店への出向ではデジタルの販促も覚えた。
宣言どおり、27歳で独立する。最初の事業は飲食だった。料理人の自分なら現場に立てるし、自分が働く分にはお金もかからない。まず飲食で売上と利益の土台をつくり、1年後にマーケティング会社、3年後に広告代理店を立ち上げる。この順番を先に決め、そのとおりに実行した。
なぜ、事業戦略だったのか
3つの会社は2022年に1社にまとまり、いまの株式会社koujitsuになった。クライアントの依頼に応えるうちに、気づけば20近い事業を内製化していたという。
コンサルティングやマーケティングで支援してきた企業は、1,800社。そこで見えてきたのが、売上5億、10億に届く前の会社の難しさだった。この段階では経営の戦略と、営業や財務、人事といった機能ごとの戦略が近く、経営者一人が見なければならない範囲がとても広くなる。それを一人で担える人は、世の中にほとんどいない。
柴田さん自身は、ベンチャーの7年でマーケティングと営業、人事・組織、財務を身につけてきた。一つの領域を極めるには1万時間がいる。それを3つほど持てば、企業に必要とされる人材になれると考えた。ただ、会社のフェーズに合わせて、機能ごとの戦略をまとめて学べる場は見つからなかった。
それなら、自分でつくればいい。それが、事業戦略を教える側に立った理由。
年表 起業までの歩み
起業する前
高校まで
サッカーに打ち込む
専門学校
料理人になる
19〜20歳
ヨーロッパ6カ国へ
7年の修業と、飲食からの独立
帰国後
東京のベンチャーへ
24歳
多店舗の統括を任される
27歳
飲食で独立
なぜ、事業戦略だったのか
2022年
3社がkoujitsuに
いま
事業戦略を教える側へ
ページ6
原点|なぜ、事業戦略なのか
今月の3つの視点
一言でまとめると 事業戦略とは、限られたリソースを「どこに張るか」を決めること。
事業戦略とは、何を決めることなのか
事業戦略は、経営戦略とマーケティング・営業・組織などの機能別戦略の間にあるもの。会社として目指す方向を、具体的な事業の意思決定に落としていく役割があります。
事業戦略で大事なのは、「何をやるか」を増やすことではありません。目指す事業規模やゴールから逆算して、今どこにリソースを集中させるのか、逆に何をやらないのかを決めること。施策を考える前に、この優先順位を明確にすることが重要です。
自社への問い|今、最もリソースを集中すべきことは何か?
一言でまとめると 戦略は、決めるだけではなく「現場までつながっているか」が重要。
経営戦略とマーケティング戦略をどうつなぐか
事業戦略やマーケティング戦略には、考える順番があります。戦略マップを使い、事業環境の整理から戦略、施策までを一つの流れとして設計していきます。
経営戦略だけ決めても、現場の施策までつながらなければ事業は動きません。一方で、広告やSNSなどの施策から考え始めると、部分最適になりやすい。上位の戦略からマーケティング、営業、組織までを一つの流れでつなげることが重要です。
自社への問い|今取り組んでいる施策は、上位の事業戦略とつながっているか?
一言でまとめると 「何をやるか」以上に、「何をやらないか」を決める。
事業を伸ばすために、何をやるか
事業を伸ばすときは、目標とする売上規模から逆算して、必要な施策やリソースを考える。すべてをやるのではなく、そのステージで必要なことを選ぶことが重要です。
事業が伸びるほど「やった方がいいこと」は増えていきます。でも、人・時間・お金は有限です。だからこそ、今の事業のボトルネックを見極め、そこに集中する。そのために「今はやらない」と決めることも、経営者の重要な仕事だと思っています。
自社への問い|今の事業で、あえて「やらない」と決めることは何か?
ページ7
今月の事業の現場
「事業戦略を語るだけでなく、自分自身も事業を動かす。」
今月、柴田雄平が実際に取り組んでいる事業やプロジェクト、企業支援、登壇などをご紹介します。
01|自社事業で今月決めたこと
「やった方がいい」だけでは、仕事を増やさない
koujitsuをはじめ、複数の事業を経営・推進していると、「やった方がいいこと」は次々に出てきます。
ただ、すべてに手を広げれば、本当に伸ばすべきところに人・時間・お金を使えません。
今月あらためて意識しているのは、「今の事業規模で、本当にそこにリソースを使うべきか」という基準です。
自分にしかできない意思決定と、事業を次のステージに進めることに時間を集中させています。
02|企業支援の現場で見ていること
施策を増やす前に、ボトルネックを特定する
企業支援でも、最初からマーケティングや営業、採用などの施策を増やすわけではありません。
まず見るのは、「今、事業全体のどこが成長を止めているのか」です。
売上の問題に見えても、原因が商品設計や営業体制、組織にあることもあります。だからこそ、一つの機能だけを見るのではなく、事業全体を俯瞰して現在地と課題を整理する。
その上で、今やることと、今はやらないことを決め、次の一手を設計しています。
03|10/7 知足×CVC 勉強会・交流会
経営者同士の対話から、次の一手を考える
10月7日、知足とCVCによるオフライン勉強会・交流会を開催しました。
経営者にとって、自社の課題を一人で考え続けるだけでなく、異なる業界・立場の経営者の視点に触れることも重要です。
知足では、事業戦略を学ぶだけではなく、経営者同士の対話を通じて、自社の課題を整理し、次の一手を考える場も大切にしています。
今月のイベント・ウェビナー
10/27 ウェビナー
今回のテーマは、「何をやめて、何に集中するか」。
やることが増え続ける中で、経営者は何を基準に優先順位を決めるのか。限られたリソースをどこに集中させるべきか、実際の事業経験をもとにお伝えします。
CHISOKU × LCONNECT
年商3億円までに、経営者は何を「やめて」何に「集中」すべきか?
関与売上207億円超の営業・集客のプロ
株式会社コネクト 代表取締役 岩佐やすか
累計1,800社超を支援した事業戦略家
株式会社koujitsu/一休 代表取締役 柴田雄平
2026.10.27(火)15:00-16:00
特典 書籍「ブースト事業戦略」無料配布 参加費無料|オンライン開催
ウェビナーのお申し込み
ページ8
今号の問い
あなたが最近、「やめる」と決めたことは何ですか
XやFacebookで、返信や引用でお聞かせください。いただいた声は、次号でご紹介します。
ひとこと
経営をしていると、やりたいことも、やるべきことも次々に増えていきます。でも、事業を成長させるために必要なのは、すべてをやり切ることではありません。
僕自身、複数の事業に関わる中で、何に時間を使い、何を手放すかを常に考えています。大切なのは、目先の忙しさに追われるのではなく、自分たちがどこを目指しているのかを見失わないこと。
何かを始めるより、何かをやめる方が難しいこともあります。だからこそ、今月は一度立ち止まって考えてみてください。
「今やっていることで、本当にやめてもいいことは何か?」
その問いが、次の成長につながるきっかけになるかもしれません。
柴田 雄平
柴田雄平 X
YouTube
事業戦略スクール「知足」
書籍『ブースト事業戦略』
知足 公式LINE
知足 X
発行:柴田雄平/株式会社一絲
制作協力:ニュースレター株式会社